これから医療業界への転職を考えている方は、まず職場や仕事内容について把握しておきたいのではないでしょうか。一言に医療業界と言ってもさまざまな仕事があります。病院・クリニック・薬局・医療機器メーカー・製薬会社・介護福祉業者・給食業者など、挙げていけばきりがありません。そこで、医療業界でおすすめの職場と仕事内容について紹介します。医療業界のどの仕事が自分に合うのか、転職先を決める際の参考にしてみてください。
医療業界とは
医療業界は、医療に関するさまざまな機関や会社が該当します。医療業界と聞いて真っ先にイメージされるのは病院やクリニックといった医療機関ですが、医療業界は病院やクリニックだけを指すわけではありません。
薬に関する製薬会社や医薬品卸や、診察・治療・手術などで使用する医療機器を提供するメーカーなども含まれます。
また、これらのほかに医療に関係するすべての仕事が医療業界に該当します。たとえば病院やクリニックで事務作業をおこなう医療事務、入院患者に食事を提供する給食業者、寝具全般を提供するリネンサプライ業者などです。
こうして改めて確認してみると、医療業界にはさまざまな機関や会社が存在するとわかります。もしも医療業界への転職を希望する場合は、医療のどの部分に携わりたいのかをはっきりさせることがとても大切です。
医療業界には追い風が吹いている
日本経済は厳しい状況が続いていますが、その一方で医療業界は追い風が吹いている状況です。
以前と比べて医療に対する需要は拡大し、年々医療業界は成長しています。医療業界の成長と業績の推移について簡単に解説します。
医療業界は成長している
医療業界の成長は、国民医療費の総額から推察できます。厚生労働省が公表している国民医療費の状況を確認すると、令和2年度の国民医療費は約43.0兆円でした。
令和1年度は約44.4兆円ですから、前年度と比較すると約1.4兆円ほど減少しています。ただ、近年はほぼ横ばいですが、平成元年は約19.7兆円、平成10年は約29.6兆円、平成20年は約34.8兆円と、年数を重ねるごとに国民医療費の総額は右肩上がりに増加しています。
この結果から医療業界は成長していると判断できます。(厚生労働省HP 令和2(2020)年度 国民医療費の概況より)
医療業界の業績推移
経済産業省が発表した「医療・福祉機器産業政策について」の資料を確認すると、医療業界の一角を担う医療機器の市場規模は、平成16年に2兆円を超えて以降右肩上がりに増加しているとわかります。
平成20年には約2.2兆円、平成25年には約2.7兆円、平成30年には約2.9兆円と推移しています。
これはあくまでも医療機器の市場規模の推移ですが、国民医療費の総額が増えていくにつれて連動するように市場規模が拡大していると判断できます。
参考:https://www.med-device.jp/pdf/20210218-kaigi_11_meti.pdf
(経済産業省 「経済産業省における 医療・福祉機器産業政策について」より)
医療業界に就職するメリット
医療業界に就職するのは、さまざまなメリットがあります。それは働きがい、給料、転職しやすさです。
どんなメリットがあるのかを知ってから、進む道を決めても遅くはありません。メリットをよく理解しておきましょう。
人の役に立つ実感を得られる
治療や看護をしたときに患者から直接感謝の言葉をかけられたりなど、医療の仕事は人の役に立つ実感を得られる点が魅力です。また、人の役に立っていると肌で感じられるため、社会貢献している実感もあります。
医療業界は人の命や健康に関わる業界ですから、仕事をすることで確実に人の役に立てます。それは実際に医療に携わる医師や看護師だけではありません。医療事務や給食業者のスタッフなども同じです。そのため人の役に立つことをしたい気持ちが強い人に向いています。
安定していて給料が高い
日本は超高齢化社会ですから、医療業界の需要がなくなる可能性は限りなく低いです。
それは医療業界に従事する側からすれば、仕事の安定化が保証されているといえます。仕事がなくて働けないリスクはほとんどありません。それどころか医療業界は常に人手不足ですから、求人探しに困ることはないでしょう。
また、医療業界は高額の給料にも期待できる業界です。医師なら年収1,000万円以上もめずらしくありません。給料の高さにこだわりたい人にもおすすめです。
転職しやすい
人の命に関わる仕事ですから、採用基準は決して低くありません。ただ、だからこそ医療の現場で経験を積んでスキルを磨いてきた人は歓迎されるので全体的に転職しやすいです。誰でもできる仕事ではないので、経験とスキルがある人はどの医療現場でも重宝されます。
また、冒頭でも紹介した通り医療に対する需要は年々高まっていますから、それにともない求人数も増加しています。予防医療など新たな分野での採用が積極的に実施されていますし、ほかの業界と比べて転職しやすい一面があるのは確かです。
医療業界の代表例と仕事内容
それでは 医療業界の代表例と、その仕事内容について解説します。同じ医療業界でも、仕事によって求められる能力や資格が異なります。また、仕事内容も違いますので、自分に合った仕事がどれなのかを冷静に見極めましょう。
病院
病院は医師と看護師が働いているイメージが強いですが、実際は医師と看護師以外にもさまざまな職業の人が働いています。
医師や看護師のように国家資格が必要な仕事がある一方で、未経験でも就ける仕事もあります。どんな仕事があるのかを紹介します。
国家資格が必要な仕事
病院で国家資格が必要な仕事は、医師・看護師・保健師・薬剤師・診療放射線技師・臨床検査技師・作業療法士・理学療法士・救急救命士・歯科衛生士・管理栄養士・介護福祉士などが代表的です。それぞれに国家試験がありますので、それに合格しなければなりません。
病院では医師や看護師などの国家資格を有する医療のプロが1つのチームとなり、患者の診察・治療・検査・リハビリ・入院などの業務をそれぞれ分担しながら効率的に仕事をしています。
未経験でも始められる仕事
病院には未経験でも始められる仕事があります。ですから「資格がない」「経験がない」ことを理由に、最初からあきらめる必要はありません。たとえば看護助手・歯科助手・医療事務・調剤事務・介護などの仕事は未経験でも始められる場合があります。
ただ、どの職業も医療業界ならではの仕事ですから、最初は覚える仕事が多くて苦労することは覚悟しておく必要があります。医療業務に誠心誠意取り組む心構えがないと続きません。業務内容をよく確認してから求人に応募しましょう。
医療機器メーカー
医療機器メーカーとは、医療機器の開発・製造・販売をおこなう会社のことです。営業やエンジニアのスタッフがいるのはほかの会社と変わりませんが、それら以外にアプリケーションスペシャリストやクリニックスペシャリストがいます。どのような職業なのかをそれぞれ解説します。
営業
医療機器メーカーの営業職は、医療機関に向けて自社製品を紹介して販売したり、導入後のアフターサービスなどを担当する仕事です。
現場の最前線で自社製品を販売しますので、製品知識をしっかりと頭に入れておく必要があります。何か質問されたらすぐに答えられるように準備しておかないといけません。そのためコミュニケーション能力の高い人や、営業スキルに長けた人が向いています。
また、移動が多く常に動き回っているため、人並み以上の体力も必要不可欠です。
エンジニア
医療機器メーカーのエンジニアは、製品のメンテナンスと修理が主な仕事です。
医療機器は性質上安定した稼働が求められるため、定期的なメンテナンスが欠かせません。医療機関に出向き、CT・MRI・エコー・人工呼吸器などさまざまな医療機器のメンテナンスを実施します。
また、医療機器に突発的なトラブルが起こったときもエンジニアの出番です。医療機器にトラブルがあると患者の検査ができないため、早急に修理しないといけません。エンジニアは医療機器のドクターで、エンジニアとしての専門性が求められます。
アプリケーションスペシャリスト
医療機器メーカーのアプリケーションスペシャリストは、主に導入から保守までを全般的に担当します。
また、営業スタッフと行動を共にし、売り込みを補助するのも仕事の一環です。まだ製品を導入するか決めていない医療機関に対し、どのように使用するのかをデモンストレーションをまじえながらわかりやすく案内します。
医療機器の専門知識や現場での豊富な経験が仕事に活きるため、診療放射線技師などの技術職から転職するケースも見受けられます。
クリニカルスペシャリスト
アプリケーションスペシャリストと似ていて、クリニカルスペシャリストも医療機関への営業スタッフを補助する業務を担当します。
職務範囲は幅広く、場合によっては医療機器の説明会を実施することもあります。前に出て説明することがある一方で、営業の補助で必要なデータを収集して分析するなど、裏方として支える業務をおこなうこともあります。
負担が大きい業務ですが、その分やりがいを感じられるのが魅力です。根気強くコツコツと仕事に取り組める人に向いています。
医薬品メーカー
医薬品メーカーとは、医薬品の研究および開発、効果の検証、販売などをおこなう会社のことです。
それぞれの工程ごとに専門職が存在します。新薬の販売によって大勢の人が救われることもあるため、やりがいを実感できる仕事です。
研究・開発
新薬の研究・開発に取り組む仕事です。新薬はすぐにできるわけではありません。開発するのに最低でも10年はかかるといわれています。
基礎研究だけでも3年ほどかかりますし、動物や人に対する治験にも数年かかります。新薬は安全性や有効性が認められなければ、製造も販売もできません。
試行錯誤を何度も繰り返しながら目的の達成を目指す仕事ですので、責任感があって丁寧な性格の人に向いています。また、医薬品メーカーにはコンプライアンスが特に強く求められるため、モラルと正義感を兼ね備えていることも重要です。
生産
医薬品は人の体に影響をおよぼす製品ですから、厳しい基準と制約による体制のもとに生産されています。生産現場で働くスタッフにも、高い品質と安全性を維持する意識の高さが求められます。
生産現場のスタッフには、製造工程を俯瞰でとらえられてアクシデントなどにも臨機応変に対応できる人が向いています。さらに、薬の管理に対する責任感の強さも欠かせません。
また、生産には黙々と作業するイメージがありますが、業務によっては各部門と連携するためのコミュニケーションスキルも必要です。
医薬情報担当
通称MR(Medical Representative)と呼ばれる医薬情報担当は、文字通り医薬品の情報を医療現場のスタッフに正しく伝えるのが仕事です。医薬品にどのような効果や副作用があるのかを説明する役割を担っています。ここでいう医薬品とは、処方箋が必要な医療医薬品のことです。
また、医療現場のスタッフに一方的に情報を提供するだけでなく、収集することも業務に含まれます。医薬情報担当が収集したさまざまな情報が、新薬の開発に役立つケースは少なくありません。医薬品のことをわかりやすく案内できる人に向いています。
製造販売後調査
製造販売後調査は、承認された医薬品を販売したあとにおこなう調査のことです。製造販売後調査の主な目的は、診療において処方された医薬品の実際の有効性や安全性のチェックです。また、医薬品は十分治験をおこなったうえで販売されますが、治験ではわからなかった情報の収集もおこないます。
実際に使用された医薬品の情報を収集することで、よりいっそう安全性を向上させられます。なお、調査を実施するには業務を統括する管理責任者が必要です。
マーケティング
医薬品メーカーのマーケティングの仕事は、量が多いこともあって難易度は高めです。医薬品の販路の開拓、海外も含めた関係機関との連携、価格の設定などの仕事を担当します。もちろんマーケットの動向調査と分析は欠かせません。
単にマーケターとしての能力が高いだけでなく、医療業界の専門用語や商習慣にも精通している必要があります。また、薬機法による広告規制などさまざまな規制に関する知識も求められるなど、全体的な能力が高くないと務まらない職業です。
治験コーディネーター・臨床開発モニター
治験コーディネーターは、新薬の治験が円滑に進むようにコーディネートする職業です。
治験には医療機関、製薬会社、患者がかかわりますので、それらの間に入って上手くサポートしないといけません。治験コーディネーターは特に資格を必要としませんが、実際には専門性を問われる仕事ですので、薬のプロの薬剤師が治験コーディネーターを務めている場合があります。需要がなくならないため、医療業界の中でも注目されている職業です。
医療業界で求められる人物像
医療業界への転職を希望するなら、求められる人物像を知っておく必要があります。医療の知識はもちろんですが、それ以外にコミュニケーション能力や対応力も重要です。どのような人物が適しているのかを確認していきます。
コミュニケーション能力が高い
医療業界は基本的に何をするにも人と関わりますので、コミュニケーション能力が高いに越したことはありません。
たとえば医師や看護師などは患者と接しますし、医療機器や医薬品メーカーの営業は医療機関のスタッフと頻繁に接します。医療の仕事でコミュニケーションは避けられないといっても過言ではありません。
医療業界で取り組んでいる業務やプロジェクトで十分な結果を出すには、患者やスタッフとの踏み込んだコミュニケーションが必要不可欠です。
臨機応変な対応ができる
たとえば患者の容態が急変したりなど、医療の現場では突発的なアクシデントがよく起こります。
予定外のアクシデントが起きたときは対応に困りますが、医療業界のスタッフには臨機応変な対応が求められます。
場合によってはどのように対応するかが患者の生死を分けます。そのため早くて正確な判断ができる人が、医療業界では求められています。急なアクシデントに臨機応変に対応できる人は、医療業界のどんな仕事でも重宝されます。
責任感が強くて誠実な人
責任感の強さと誠実さは、医療業界で働くなら絶対的に必要です。医療業界は人の健康に関わる仕事ですから、責任感に欠けているととんでもない医療ミスにつながりかねません。人の命を預かっている責任感の強さがなければ務まらない職業です。
また、責任感とともに誠実さも求められます。医療業界には地味で目立たない仕事もありますが、それでも誠実にこなせる人が向いています。仕事に対して「適当でいいか」と考えてしまう不誠実な人は求められていません。
ビジネスマナーを理解している人
医療業界は人との関わりが多いため、サービス業の側面があります。サービス業では相手を不快にさせないマナーが求められますが、それは医療業界でも同じです。ビジネスマナーを理解している人は相手に好印象を与えられるので、医療業界で歓迎されます。
ただ、他のサービス業とは少し異なった医療業界ならではのビジネスマナーもあります。人の命が関わる現場ですから、他の業界よりも言葉や態度に気をつけないといけません。ビジネスマナーを徹底している礼儀正しい人は採用されやすいです。
医療業界に入るための対策と条件
医療業界に入るなら、事前に条件を確認して対策を練る必要があります。未経験でもできる仕事はありますが、簡単に入れると安易に考えるのはよくありません。厳しい業界ですので、志望理由や目的を明確にしましょう。対策について解説します。
医療業界の厳しさ・デメリットも覚悟する
医療業界は社会への貢献度が高くてやりがいがありますし、安定していて高い給料を期待できます。
ただし、厳しさやデメリットがあることも忘れてはいけません。たとえば就業時間が不規則になりやすいことです。病院や介護施設での勤務は日勤と夜勤のシフト制が多く、いつも同じ時間に働くとは限りません。また、シフト変更や人手不足による休日出勤や残業などの時間外労働も覚悟する必要があります。
ほかにも医療に関する情報を常に収集して業務に臨まなければならないなど、医療業界の厳しい一面を理解しておきましょう。
なぜ医療業界なのかを明確にする
先ほど説明したように医療業界には厳しい一面があるため、なぜ医療業界なのかを明確にしておかないと仕事を続けられなくなります。
医療業界は人の命に関わる仕事で責任が重いため、半端な考え方のまま飛び込むと精神的に辛くなってしまいます。
業界の安定性や給料が高いこと以外に、なぜ医療業界で働く必要があるのかを事前にはっきりさせることが大切です。明確な信念があれば、たとえ辛いことがあってもくじけずに乗り越えられます。
医療業界で何をしたいのかを明確にする
医療業界で何をしたいのか、目的を明確にすることが大事です。目的がないと進む道が決まらず、日々疑問を抱きながら仕事をすることになりかねません。学生時代に気軽におこなうバイトとは違いますので、明確な目的を持って転職することが大切です。
たとえば「一人でも多くの患者を治療したい」「新薬の開発に最初から携わりたい」「医療機器のメンテナンスに関わりたい」などです。何をしたいのかは、医療業界で働く際の核になる部分です。目的を明確にしてから転職活動を始めましょう。
基本知識を身につける
医療業界は未経験でもできる仕事がありますが、それでも基本知識を身につけておくに越したことはありません。
なぜなら、基本知識がないと仕事がスムーズに進まないからです。現場で基本知識についてわざわざ説明するケースは少ないため、困らないように最初から基本知識を身につけておく必要があります。
知らないからできないは通用しません。基本知識を身につけておけば、とりあえず簡単な仕事から任せてもらえます。基本知識に不安がある方は特に力を入れて対策しましょう。
業種によってアピールすることを変える
一言に医療業界と言っても幅広いですから、転職する際は業種によってアピールすることを変える必要があります。
病院・医療機器メーカー・製薬会社・介護福祉業者で、アピールすることはそれぞれ違います。どのようにアピールするのがおすすめなのかを紹介します。
病院・クリニック
病院・クリニックの場合は、今までの経験をアピールすることで即戦力になると判断してもらいやすくなります。
今までどんな病院でどのように働いていたのかを、わかりやすく伝えましょう。その中で自分の強みの部分は、具体的なエピソードとともにアピールします。強みのアピールは、技術的なことでも性格的なことでも構いません。
さらに、リーダー職やマネジメント職など特別な役職を務めた経験がある場合は、強みとともにアピールするのがおすすめです。
医療機器メーカー
医療機器メーカーに対してアピールする場合は、なぜそのメーカーを志望するのかを明確にすることが大切です。
メーカーの理念や事業内容のどんなところに共感したのかを具体的に伝えましょう。そして、自分がどのような形で貢献できるのかにつなげることで、自身の必要性をアピールできます。
そのタイミングで、自分の強みやスキルについても話すと効果的です。メーカーとの親和性があることをわかってもらえれば、必然的に採用されやすくなります。
製薬会社
製薬会社の業務は総じて専門性が高いため、製薬会社が求める技術やスキルにいかに自分がマッチしているのかをアピールするのが効果的です。自分が持っている専門知識や、経験してきた業務について伝えます。
また、希望する職種に対して有効的なビジネススキルがある場合は、それもアピールに盛り込むと好印象を持たれやすいです。
たとえばプロジェクトのマネジメント能力や、コミュニケーション能力などです。どう役立てるのかをイメージしてもらえるようにアピールしましょう。
介護福祉業者
介護福祉業者は他業種から転職するケースが多いです。その場合のアピールで有効的なのは、前職で培ったスキルや経験を伝えることです。
たとえば前職がメーカーの営業だった場合、営業スキルや経験が介護現場でも役立つとアピールするのがおすすめです。
護職は全般的にコミュニケーション能力が求められるため、その点を積極的にアピールすることが大切です。特に利用者の要望に応えて満足度を高められる自信がある場合は、その点を特に強くアピールしていきましょう。
資格を取得する
医療事務なら診療報酬請求事務能力認定試験や医療事務管理士技能認定試験、調剤事務なら調剤報酬請求事務専門士や医療保険調剤報酬事務士など、医療業界に関する資格は各分野ごとに複数存在します。
資格を取得したからといって必ず採用されるとは限りませんが、自分の能力をアピールしやすくなるのは間違いありません。希望する仕事に関連した資格がある場合は、取得を積極的に考えましょう。中には在宅受験が可能な資格もあります。
文系が医療業界を目指す方法
「文系だと医療業界で働くのは難しいのではないか」と不安を覚える方がいますが、文系でも医療業界で働くことは可能です。
開発・研究・分析は理系向きの仕事ですが、それ以外にも仕事はあります。たとえば営業職やMRなどが該当します。
これらの仕事は会話力や交渉力などのコミュニケーション能力が求められるため、文系でも関係なく目指せます。人と話したりプレゼンすることが得意だと自覚している文系の人は、営業職やMRに的を絞って求人を探すのが医療業界で働く近道です。
医療業界の主要企業
製薬会社の主要企業は、武田薬品工業、大塚ホールディングス、アステラス製薬、第一三共、中外製薬などです。特に武田薬品工業は売上が突出していて、2022年3月期の売上は約3.6兆円でした。名実ともに日本を代表する製薬会社です。
また、医療機器メーカーでは、オリンパス、テルモ、富士フィルムホールディングス、オムロンなどが代表的な主要企業です。健康への関心が高い人なら、誰でも知っている有名企業ばかりです。医療の需要は拡大していますから、今後も継続的な成長を見込めると推測できます。
一方の介護事業者では、SOMPOホールディングス、ベネッセ、ツクイなどが主要企業として名を連ねます。特にSOMPOホールディングスは、介護付きホーム、サービス付き高齢者向け住宅、在宅介護サービスなど、介護が必要な高齢者をサポートするサービスをいくつも提供していることで知られています。
まとめ
医療業界の代表的な仕事と、その仕事内容について紹介しました。記事で紹介したのは、病院・クリニック・医療機器メーカー・医薬品メーカーなど一部ですが、それぞれ仕事内容が異なります。自分の適性に合う職場と仕事内容の求人を探して応募しましょう。
また、各職場に共通する医療業界で求められる人物像についても紹介しました。医療業界は基本的に人と関わる仕事ですから、どの職場でもコミュニケーション能力が求められます。
さらに、医療は人の命に関わる仕事ですので、責任感の強さや臨機応変な対応力も必要不可欠です。これらの考え方や能力が自分に備わっているのかを、まず客観的に判断してみてください。
医療業界は厳しさやデメリットもあるので、なぜ医療業界を希望するのかと働く目的をはっきりさせることが大切です。事前に自問自答してから転職活動に臨みましょう。